Last Updated on 2026年1月13日 by 副業おじさん
こんにちは、副業おじさんです。
今回は、私が過去に経験した副業の中でも、最も過酷で、そして最も「割に合わない」と感じた仕事についてお話しします。
それは、神奈川県の某繁華街にある「ラブホテルの清掃アルバイト」です。
当時の私は、こんな甘い考えを持っていました。
「会社の給料だけじゃ物足りないし、仕事終わりに体を動かせばダイエットにもなって一石二鳥じゃないか」
結論から言います。
その考えは、開始初日に粉々に打ち砕かれました。
もしあなたが、「誰とも話さなくていいし、掃除なら楽そうだな」なんて軽い気持ちで求人に応募しようとしているなら、ちょっと待ってください。
これは、私が体験した「水滴一滴も許されない戦場」のリアルな記録です。
密室の階級社会:「受付」と「清掃」の残酷な格差
私が働いていたのは、神奈川県の中心部、いわゆる「ラブホテル街」の一角にあるホテルでした。
面接の時、オーナーからこんなことを言われました。
オーナー:「君、サラリーマンだよね? もしよかったら『受付』やってみる?」
ラブホテルの仕事には、大きく分けて「受付(フロント)」と「清掃(メイク)」の2種類があります。
受付は、基本的に冷暖房完備の部屋に座り、お客様の対応をする仕事。
対して清掃は、裏方を走り回る肉体労働です。
ダイエット目的だった私は、
「いや、体を動かしたいんで清掃でお願いします」
と断ったのですが、その瞬間、職場の空気が凍りついたのを覚えています。
現場に入って分かりました。
そこで働いているのは、60代〜70代の高齢女性がほとんど。
男性は私を含めて2割程度です。 彼女たちの視線はこう語っていました。
「新入りの副業サラリーマンが、楽な『受付』なんてやれると思うなよ」
この職場において、受付は「上がり」のポジションであり、清掃は「戦場」です。
私は自ら志願して、その最前線へと飛び込んでしまったのです。
4人1組のチーム戦、そして私の固定ポジション
清掃業務は、基本的に4人1組のチームで行われます。
待機所にはモニターがあり、部屋のドアが開く(=お客様が退室する)と、ランプが点灯します。
それが出撃の合図です。
4人の役割分担はこうです。
- お風呂場の清掃(1名)
- トイレ・洗面台の清掃(1名)
- ベッドメイク・室内片付け(2名)
普通ならローテーションしそうなものですが、ここには暗黙のルールがありました。
「お風呂場が一番きつい。だから、体力のある男がやるべき」
同僚は60〜70代の女性ばかり。彼女たちに重労働である風呂掃除をさせるわけにはいきません。
結果、シフトに私が入っている日は、自動的に「おじさん = 風呂掃除担当」として固定されました。
たまに男性が多い日に、数回だけベッドメイクやトイレ掃除をやったことがあります。
はっきり言って、天国でした。
シーツを張り替えたり、ゴミを片付けるだけ。これは「家庭の掃除の延長」です。全然疲れません。
しかし、私の主戦場である「お風呂場」は違いました。 あれは掃除ではありません。
格闘技です。
「水滴一滴も残すな」:10分間のデスマッチ

ラブホテルのお風呂を見たことがありますか?
家庭用とは比べ物にならないほど巨大で、ジャグジーなどがついた豪華な作りです。
オーナーは「ライバルは高級シティホテルだ」と豪語する意識高い系でした。
彼が求めたクオリティ、それは「新品同様に戻すこと」です。
清掃手順はこうです。
- 突入と補充: 浴室に入り、まずはシャンプー・リンス・ボディソープの残量を確認。減っていたら、2リットルの巨大な詰め替えボトル(これが重くてヌルヌルして持ちにくい!)から慎重に継ぎ足します。こぼしたら掃除の手間が増えるので、一瞬も気が抜けません。
- 磨き上げ: 浴槽の中、壁、床、椅子、桶。すべてに洗剤をぶちまけ、スポンジで全力で磨きます。
- 水滴の抹殺: ここからが本番です。シャワーで洗剤を流した後、使い古しのバスタオル(リネン)を2枚両手に持ち、浴室内のすべての水滴を拭き取ります。 浴槽の中はもちろん、蛇口の裏、鏡、壁、そして天井まで。
この一連の作業を、「10分以内」で終わらせなければなりません。
なぜなら、次のお客様が待っているからです。
オーナーの「抜き打ちチェック」の恐怖
清掃が終わって次の部屋へ向かおうとすると、背後からオーナーが現れます。
彼は無言で浴室に入り、洗面器や椅子をパッとひっくり返します。
「はい、ここ。水滴残ってるよ。やり直し」
裏側に一滴でも水滴がついていればアウト。
「全然できてないね」という冷ややかな言葉を浴びせられ、また一から拭き上げ直しです。
繁忙期には、1日で50部屋以上を回します。
50回、巨大な浴槽を磨き、天井に向かって背伸びをして拭き上げ、重いボトルを持ち上げる。
全身運動としては優秀かもしれませんが、これはもう「ダイエット」の域を超えています。
ダブルワークの代償:本業への浸食
私は平日の仕事終わり、夜の時間帯にシフトを入れていました。
会社を出て、ホテルに着き、持参したTシャツとハーフパンツに着替えて「戦闘モード」に入る。
そして3時間〜4時間、ひたすら風呂を磨き続ける。
最初のうちは「いい運動だ」と思っていました。
しかし、1ヶ月も経つと体に異変が現れました。
翌日の仕事中、強烈な眠気とダルさが抜けないのです。
当然です。
中年のおじさんが、本業のあとに全力疾走しているようなものですから。 さらに、常に中腰で作業するため、腰へのダメージも蓄積していきます。
「あれ、俺、何のために働いてるんだっけ?」
会社のデスクでウトウトしながら、ふと思いました。
月5万円程度の副収入を得るために、本業のパフォーマンスを落とし、体を壊しかけている。
これでは本末転倒ではないか。
半年で限界を迎えた日
結局、私は半年でこのバイトを辞めました。
辞める日、同僚のおばちゃんたちは「あら、頼りにしてたのに残念ねぇ」と言ってくれましたが、その言葉の裏には「また私が風呂掃除をしなきゃいけないのか」という嘆きが見え隠れしていました。
「給料、安すぎませんか?」
最後にそう思いました。
これだけの激務で、求められるクオリティも高いのに、時給は最低賃金。
経営難なのかもしれませんが、労働内容と対価が完全に見合っていませんでした。
結論:サラリーマンが「風呂掃除」で稼いではいけない
この半年間の体験から、私は一つの教訓を得ました。
「おじさんの副業は、絶対に『肉体労働』を選んではいけない」
特にラブホテル清掃は、「誰にも会わない」「掃除なら簡単」というイメージで選ばれがちですが、その実態は「時間と体力と健康の切り売り」です。
もしあなたが、私のように「ダイエットついでに稼ごう」なんて考えているなら、今すぐその考えを捨ててください。
痩せるよりも先に、腰を壊して病院通いになるのがオチです。
もし、あの頃に戻れるならどうするか?

今、私が当時の自分にアドバイスするなら、こう言います。
「そのハーフパンツを脱いで、スーツのまま家に帰れ。そして、風呂場じゃなくて『パソコンの前』に座れ」
風呂掃除でヘトヘトになって稼いだ5,000円は、一晩の飲み代や湿布代で消えました。
しかし、その時間を「Webスキル(動画編集やプログラミング)」の勉強に使っていれば、どうなっていたでしょうか?
今の私は、エアコンの効いた部屋で、コーヒーを飲みながらパソコンを操作し、当時の倍以上の金額を「座ったまま」稼いでいます。
腰も痛くないし、オーナーに水滴のことで怒られることもありません。
「体を動かす」のではなく、「頭を動かす」。
これが、体力の下り坂に差し掛かった私たちおじさんが、副業で生き残るための唯一の戦略なのです。


コメント