Last Updated on 2025年12月17日 by 副業おじさん
こんにちは、副業おじさんです。
突然ですが、あなたは「警備員」という仕事にどんなイメージを持っていますか?
- 「道路工事やイベント会場で、誘導棒を持って立っているだけ」
- 「特別なスキルもいらないし、楽そうだな」
正直に告白します。
私もかつてはそう思っていました。
土日の空いた時間に、ただ立っているだけでお小遣いが稼げるなら、こんなに美味しい副業はないだろうと。
しかし、その安易な考えは、ある夏の日の「35時間連続拘束」という地獄によって、粉々に打ち砕かれました。
今回は、私が体験した警備員バイトのリアル、特に「移動時間という名の無賃労働」と「辞める時の泥沼」について、包み隠さずお話しします。
これから「楽そうだから」という理由で警備員を始めようとしている同世代のサラリーマンの方へ。
これは、あなたへの警告です。
きっかけは「夏の稼ぎどき」という甘い誘い
私が警備員の募集に応募したのは、ちょうど夏真っ盛りの時期でした。
ご存知の通り、夏はお祭りや花火大会などイベントが目白押し。
人が密集する場所では事故が起きやすいため、警備業界にとっては一年で最も忙しい「稼ぎどき」です。
求人広告には魅力的な言葉が並んでいました。
- 「花火大会を見ながら働ける!」
- 「昼食支給! 初心者歓迎!」
「花火が見れて、弁当も出て、お金ももらえる。最高じゃないか」
そう思った私は、迷わず応募ボタンを押しました。
しかし、この時の私はまだ知りませんでした。
警備員の仕事において、「現場に立っている時間」なんて、ほんの一部に過ぎないということを。
最初の誤算:給料が出るまでの「長い道のり」
まず驚いたのは、応募してすぐに働けるわけではないということです。
警備業法という法律により、現場に出る前に必ず「法定研修(座学)」を受けなければなりません。
期間にして約3日間(20時間以上)。
平日は本業があるため、私は貴重な土日を2週にわたって研修に費やしました。
研修中も最低賃金の時給は発生しましたが、実際に現場に出て稼げるようになったのは、応募から2ヶ月後のことでした。
今にして思えば、冷房の効いた部屋でビデオを見ていたこの研修期間こそが、警備員バイトにおける唯一の「天国」だったのかもしれません。
地獄の始まり:移動という名の「無賃拘束」
研修を終え、ついに花火大会の警備に派遣される日が来ました。
しかし、ここで警備員バイトの最大の罠、「移動時間」の現実に直面します。
片道2時間の無給ドライブ
花火大会の警備は、まず警備会社の事務所に集合します。
そこから社用車に乗り合いで現場へ向かうのですが、イベント会場は大抵遠方にあります。
私が参加した現場も、事務所から車で片道2時間かかりました。
往復で4時間。この時間は勤務時間に含まれません。
狭いワンボックスカーに屈強な男たちと詰め込まれ、揺られ続ける4時間。
もちろんタダ働きです。
「半径2km」の徒歩ルール
さらに過酷なのが、現地集合の場合のルールです。
警備員の装備は、制服、ヘルメット、誘導棒、無線機など、合わせると2kg近くになります。
さらに足元は、つま先に鉄板が入った重い安全靴。
この重装備を抱えて現場へ向かうわけですが、会社にはこんな規定がありました。
「最寄駅から現場まで、地図上の直線距離で半径2km以内なら、交通費(バス代)は出しません。歩いてください」
地図上の直線距離で2km。
そこには、急な坂道や信号待ちは考慮されていません。
真夏の炎天下、巨体に重装備を背負い、鉄板入りの靴で2kmを歩く。
現場に着く頃には、すでに汗だくで体力は半分以上削られていました。
自腹でバスに乗ることもありましたが、その分だけ日給が減っていく虚しさ。
「俺は、何のために働いているんだ?」という疑問が、頭を離れませんでした。
そして訪れた「35時間」の悪夢
私が経験した中で最も過酷だったのが、ある土曜日の花火大会から日曜日のサーキット警備へと続く、地獄の連勤シフトでした。
事務所の人からこう言われました。
「花火の次の日、有名なサーキット場の警備があるんだけど行かない? 車好きなら楽しいし、いい経験になるよ」
「サーキットか、面白そうだな」と安請け合いしてしまったのが運の尽きでした。
ここから、私の週末は消滅することになります。
【土曜日 10:00】 集合
朝10時に事務所へ集合。そこから車で2時間かけて花火大会の会場へ移動。
【土曜日 14:00〜22:00】 花火大会警備
現場に着いて説明を受け、配置についたのが14時。 そこから夜の22時まで、8時間ぶっ通しの立ち仕事です。
私の担当は「声出し誘導」。
「左側通行でお願いしまーす! 立ち止まらないでくださーい!」
喉が枯れるまで叫び続け、人の波を整理する。花火を楽しむ余裕なんて1ミリもありません。
群衆事故を防ぐための重要な仕事ですが、終わりの見えない人混みに、精神が削られていきます。
【土曜日 24:00】 事務所帰還〜仮眠という名の休憩
22時に業務終了、そこからまた2時間かけて事務所へ戻ります。
到着したのは深夜0時。
ここから家に帰れるわけではありません。
翌日のサーキット警備のため、事務所で「仮眠」を取らされるのです。
パイプ椅子を並べたような簡易的な場所で、汗ばんだ制服のまま2時間の仮眠。
眠れるわけがありません。
【日曜日 02:00】 再出発
午前2時。重い体を起こされ、再び車に詰め込まれます。
今度の現場は隣県のサーキット場。
移動時間は3時間。
揺れる車内で意識が飛びそうになりがら、夜明け前の高速道路を走ります。
【日曜日 06:00〜14:00】 サーキット警備
現地に到着し、早朝6時から警備開始。
爆音とともに走り抜けるレーシングカーを見る余裕などなく、ひたすら炎天下の駐車場で車の誘導を続けます。
花火大会の疲れと睡眠不足で、立っているだけで精一杯でした。
しかも、こちらの現場は「昼食支給なし」。
コンビニで買った冷たいおにぎりを、排気ガスの臭いがする駐車場で急いで流し込みました。
【日曜日 21:00】 解散
業務終了後、また3時間かけて事務所へ戻り、解散したのが夜の21時。
土曜の朝10時から、日曜の夜21時まで。
実に35時間もの間、私は警備会社の制服を着て拘束され続けたことになります。
手に残ったのは「時給500円以下」の現実
この地獄の2日間で、私が手にした報酬はいくらだったと思いますか?
日給換算で、2日間合わせて約15,000円でした。
計算してみてください。 拘束時間35時間で、15,000円。
時給にすると、約428円です。
移動時間、仮眠時間、待機時間。 これらはすべて「労働時間」とはみなされず、一銭にもなりません。
しかし、私の体感としては、間違いなく35時間働き続けていました。
「割に合わないどころじゃない。これは搾取だ」
週明けの本業中、私は抜け殻のようになっていました。
全身の筋肉痛と倦怠感で、仕事どころではありません。
副業のせいで本業がおろそかになり、しかも時給は400円台。
この時、私は警備員を辞めることを固く決意しました。
辞める時も一苦労。「コスト」扱いされる新人
しかし、辞めると伝えた時も一悶着ありました。
警備会社にとって、新人がすぐに辞めるのは大損失だからです。
- 「せっかく研修したのに、もう辞めるの?」
- 「研修費の元も取れてないんだよ、分かってる?」
担当者から露骨に嫌な顔をされ、ネチネチと引き止められました。
彼らの言い分も分かります。
法律で決まっているとはいえ、20時間の研修コストをかけて育てた新人が、数回現場に出ただけで辞めてしまっては赤字でしょう。
私も総務の経験があるので、その「金勘定」は痛いほど分かります。
しかし、だからといって、こちらの人生を安売りする義理はありません。
最後は逃げるようにして退職届を出しました。
結論:おじさんが「時間」を売ってはいけない
この経験から、私は一つの真理にたどり着きました。
「副業において、移動時間などの『見えない拘束時間』を甘く見てはいけない」
警備員の仕事自体は、社会にとって必要不可欠で尊い仕事です。
しかし、私たちのような「副業サラリーマン」が、限られた土日の時間を使ってやるには、あまりにもタイムパフォーマンス(時間対効果)が悪すぎます。
「立っているだけ」に見える仕事の裏には、往復4時間の移動、重装備での徒歩、そして研修という名の先行投資があります。
それらを全てひっくるめて時給換算したとき、コンビニバイトの半分以下になることさえあるのです。




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